今回は、矯正治療を考えている患者さんやお子さんに最適な治療を受けさせたいご両親に向けて、矯正治療で失敗しないためのポイントをお伝えします。
1. 矯正治療だけでは解決できない問題もある
矯正治療だけでは顎のズレや出っ歯の問題を解決することはできません。これらの問題が主訴である場合、外科的矯正治療が必要です。保険適用の外科的治療を行うことで、顎の位置を正しく整えることが可能です。矯正治療は歯の位置を整えることに特化していますが、顎の骨の位置や形状に関しては外科的アプローチが不可欠です。
外科的矯正治療は、大学病院や「指定自立支援医療機関 顎口腔機能診断施設」の矯正歯科医院で受けることができます。もし、治療を断られた場合でも、他の施設で可能なこともありますので、ぜひご相談ください。保険診療が適用され、自己負担はおおよそ90万円前後、治療期間は3〜4年程度が一般的です。
2. 治療を受けたくないお子さんへの配慮
治療を受ける本人が矯正治療を望まない場合、無理に治療を開始しても、定期的な受診を怠ったり、治療が計画通りに進まないことがあります。これにより、虫歯のリスクが高まるだけでなく、治療の効果も薄れてしまいます。また、治療後にリテーナーを適切に装着しないと、歯が元の位置に戻ってしまう可能性が高いです。患者さん自身の意志を尊重し、納得した上で治療を進めることが重要です。
ご両親が、お子さんのためにベストを尽くしたいというお気持ちに敬意を表し、治療の開始時期について一緒に相談させていただきます。
3. 拡大床治療の限界を理解する
子どもの矯正治療でよく用いられる拡大床は、顎を広げて前歯のガタガタを改善する方法ですが、実際には顎の骨が広がるわけではありません。拡大床の効果には限界があり、通常は5ミリ程度の拡大が可能です。それ以上の拡大を試みると、歯の傾きが異常になり、噛み合わせに問題が生じることがあります。また、乳歯列の幅を広げても、永久歯の生えるスペースが確保されないため、後に八重歯などの問題が発生することがあります。治療を希望するご両親には、これらのリスクを十分に説明し、期待に応えるための適切な治療計画を立てることが求められます。
最近の報告では、拡大床によって前歯の根が外側に移動し、犬歯との接触によって前歯の根が吸収され、前歯が抜けてしまうケースもあります。これらのリスクはCT撮影を行わないと予測できません。治療を希望するご両親には、これらのリスクを十分に説明し、期待を裏切らないようにすることが重要です。
まとめ
矯正治療は、患者さん一人ひとりの状態に応じた適切なアプローチが必要です。治療を受ける前に、しっかりとした説明を受け、ご両親の期待に応える治療を行うことが大切です。私たち駒沢よしや矯正歯科では、患者さんとそのご家族が安心して治療を受けられるよう、丁寧にサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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日付: 2024年11月11日
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